ヴァージニア日記

アメリカで過ごす中で、毎日感じたことを記します。

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ユニヴァーサル。

フェリックス!
グッドボーイ!
アーチー!
ケリー!
グッドガール!


いつにになったら英語が100%聞き取れるようになるのだろうか。ニュース英語はほぼ分かるものの、ドラマや映画となると物によっては70%くらいしか理解できないことがある。アメリカに住んでもう15年以上経つというのに、進歩していないのではないか。
いや、進歩はしている。日本から来たばかりだった頃は、CNNのニュースをも聞き取れず、ジョージタウン大学のクラスでどれだけ苦労したことか。みんながイギリス英語とアメリカ英語の違いを物まねして笑っているのを、どっちも同じに聞こえ笑えなかった。今なら英語と米語のアクセントの違いを笑うことが出来る。

でもね、哲、本当に100%分からないんだよ?そんなことがあって良いと思う?何言っているかチンプンカンプンなの。本当に全く理解出来ないんだよ!

デイケアで一緒に働いているスタッフの中には20代の子達も多い。その子たちの中に50に足をかけ始めているおばさんの私が入って話を聞いていること自体がおかしいのかもしれないが、ある日、彼らの話している会話の一つの単語も聞き取れなかっことがあったのだ。アフリカンアメリカン特有の強いアクセントのせいもあるのだろう。でもそれにしても分からなさ過ぎるのでないか。いくら楽しく仕事をしていても、そうなるとまだとてもここが「居心地の良い場所」とは言うことが出来ない。言葉のいらない犬達と接している限りは良いのだが、言葉が必要な人間と接する時にやはり緊張する。会話が全く分からない時、私は1人知らない場所に取り残された犬のような孤独感を感じるのだ。
みんな笑ってる。何がおかしいんだろう。
そして急にその中の1人が「ね、サチコ!」と言い、会話を振られる。
あ、その単語は分かる!
「サチコ」。

英語は自分から聞こうとしない限り、それはただのBGMとなり耳に入ってこない。でも誰かが遠くで話している会話でも、自分の名前が入るとそこだけは聞き取れる。そこだけは、日本語を聞いているかのように、意識しなくとも耳に入って来る。

働き始めて数日後のことだった。「ねぇ、サチコ、サチコは何かニックネーム持ってる?どうしてかっていうとね、、、、何人かサチコの名前を発音できなくて困っている子がいるのよ。」とマネージャーから聞かれた。その時「困っている」と言う表現を、彼女は「COMPLAIN 不平を言う」という単語を使っていたのを覚えている。そんなに困っているんだ。会話の中で相手の名前を呼びかけることの多いアメリカ人にとって、相手の名前をきちんと言えないことはかなり居心地が悪いのだろう。私は急にニックネームと言われても困り、悩んだ末「HANNAH ハナ」と答えた。「SACHIKO」のスペルを聞いただけでは書けないスターバックスなどのコーヒーショップで使っている私の英語名なのだ。これからはコーヒーショップだけではなく、ここでもハナと呼ばれて「自分だ」と気づく様に気を付けていなくてはならない。ところがそれから何日経っても誰からもハナとは呼ばれない。そして、誰もがサチコと呼ぶようになった。きっと「サチコ」と発音出来る人がいるのに自分だけ出来ないのは申し訳ないと思ったのだろう。影で練習してくれたのだろう。ありがとう。

チリにいてもアメリカにいてもどこにいても馴染みある日本語「サチコ」が耳に入って来るのは何とも心落ち着きほっとする。当たり前なのだろうが、これはすごいことではないだろうか。名前はUNIVERSAL LANGUAGE (世界共通の言語)なのだ。日本語のリンゴは英語ではアップル、スペイン語ではマンサナ、苺は英語ではストロベリー、スペイン語ではフルティージャなのに、サチコはどの国でも「サチコ」なのだ。どんな外国にいても私の名前はサチコで、他に代わるものは無い。そしてその馴染みある愛おしい単語を異国で耳にすると、私はほっとするのだった。

そして思った。
あ!犬もそうなんだ!
そうだ、名前がキーなんだ!


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デイケア初日の犬、いつもシャイな犬、居場所無さそうにしている犬たちに私は名前をたくさん呼んであげることにした。
フェリックス!大丈夫?
おぉぉ、、ケリー、グッドガールね!
アーチー カム!


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名前を呼んであげると、隅っこの方で泣きそうな顔をして佇んでいた犬の顔がパット明るくなり近寄って来る。
あ、このおばちゃん、ママとパパと同じ言葉をぼくに言ってくれる!
と近寄って来る。
そうだよ、仲間なんだよ。魔法の言葉を知ってるんだよ。


今ではスタッフの多くの人が頻繁に「サチコ」と口にしてくれるようになった。パッと目があっただけで通りすがりのアイリーンが「サチコ~!」と笑顔で言う。
若者代表のミアが「ヘイ!サチコ!」と挨拶してくれる。
エイヴィーが「ワッツ アップ サチコ?WHAT'S UP?」と言ってくれる。

幸せな子 幸子。
「みんながSACHIOKOって名前だったら、みんな幸せになるね」あの日少年に言われた名前(←クリック)、私はこの世界共通の単語が本当に好きだ。

あぁ、名前があって良かった。

ところでさぁ、哲、アフリカンアメリカンの人が出ている映画でも毎日観ていたらいつか彼らの英語も分かるようになるのかなぁ。


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