ヴァージニア日記

アメリカで過ごす中で、毎日感じたことを記します。

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IT IS HAPPENING。

それが陽の目を見ようが見まいが、人は「何か光るもの」を必ず持って生まれて来たと信じている。「これをさせたらあなたはぴか一!」というようなものを。哲は東洋医学医になり自分に持って生まれた光るものを輝かせてあげていると思う。私は未だに自分の中の眠る宝石を探索中だが、これから見つかると信じている。見つけようとしている。

反対に、「これだけはどう頑張っても出来ない」という物もほとんどの人は持って生まれている。自分の宝石は見つけていない私だが、この「出来ない」ものはずっと前から分かっている。それは車の運転だ。

大抵のことは努力すれば多少なりとも出来ると思って生きてきたが、車の運転というものに直面した時、こればっかりは努力しても駄目かもしれない、、と珍しく諦めた。二十歳の私がマニュアルの免許をとろうとしていた時には、自分と同じ苗字を持つひょうきんな足立先生に「あのぉ、私やっぱり免許をとるのやめようと思います。」と相談した。もちろん先生は「頑張れ!」と背中を押し励ましてくれ、そして無事に免許をとることが出来た。だがその免許はそのまま財布にしまわれ、何度か更新はされたものの今は無効となっている。

そんな私が今、自分が苦手だと分かっている車の運転にチャレンジしている。アメリカでも一度挫折した免許取得を再度試みようとしているのだ。友人は足立先生のように「大丈夫!慣れればなんてことなくなるから!」「私でも出来るんだから!」「頑張って!」と応援してくれ、そしてその言葉に励まされるように、今日も助手席に足立先生の代わりに哲を乗せ、運転の練習をしたのだった。

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みんなに励まされその気になる時、楽しそうに運転をしている自分を想像する。そう、やれば出来る。慣れれば大丈夫と自分に言い聞かせる。そして免許を取得し、好きな時に買い物をしている自分を想像する。
あぁ、やる気が出て来た!出来るような気になってきた!
MAKE IT HAPPEN!
IT IS HAPPENING!


そう自己暗示し嬉しい気持ちのスタートを切るのだが、いざ練習し終えると毎回決まって落ち込み、心が泣いているのだ。それは足立先生や友達とは違い哲が励ましてくれないからだった。

こうした方が良い、ああした方が良い、幸子はもっとここを練習しなくてはならない、、とポイントを教えてくれるものの、失敗した時に哲が見せる表情にまず落ち込む。最後に「GOOD JOB」とは言ってくれるが、明るい口調では無く、社交辞令的な言葉にしか聞こえてこないのだ。
ねぇ、運転楽しんでる?
その質問も「楽しんでいない様子」を見てとられ、だからこそここで励まして欲しいのに「したくなかったらしなくていいんだよ」と違う方向へ導いてくれるのだ。

自分の教官は哲以外にあり得ない。でもこのままでは運転が楽しくなくなってしまう、、、と思った私は思い切って哲に心の内を打ち明けた。

みんなは運転することを頑張れって励ましてくれるのに、どうして哲は励ましてくれないの。
毎回運転の練習をする度に、泣きたくなるような気持になって、このままだと続けることが出来ないよ。
なんでいつも怒ったような顔をしているの。


すると哲は、、

しょうがないじゃん。みんなとは立場が違うんだよ。幸子の命がかかっているんだから!

あぁ、どうしてそんなことに気付いてあげなかったのだろう。
今まで「どうしてどうして」と思っていた疑問が解決されただけでは無く、哲の行動の理由が「自分を大事に思ってくれていること」から来ていると知り、泣いていた心が嬉し泣きに変わった。そしてそれほどまでに心配してくれているなら、危険と思われている運転をしない方が哲のためになるのかもしれないとまで思った。

うううん、でもそんな哲のために頑張る。

週に2度は練習するようにしているが、未だ毎回ハンドルを握るたびにドキドキし、家に到着した時には安堵で疲れる。

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哲に「別に運転をしなくてもいいんだよ。嫌なら無理してすることないんだから。」と言われる度に、何度も「そうだよね、無理してまですることないんだよね。」と折れそうになる。哲もこんなに心配していることだし。でも、私はその大事な家族のために頑張りたいのだ。哲が倒れた時、病院に行くのに人に頼らなくてはならなかった。クルミが死にそうになり入院しなくてはならなかった時もタクシーには乗せることが出来ないから、クリニックのスタッフであるソラが仕事中なのに病院に送ってくれた。自分の家族くらい自分で守らなくては。

家族だからお互いを心配する。そしてそんな夜、フェイスタイムをしたお義母さんが最後に「幸子さん、運転気を付けてね。」とその前に話していた内容から続く涙声で言ってくれた。

ハンドルを握る。緊張する。シートベルトをし、エンジンをかけミラーを確認。左にウィンカーを出し、さぁ、いざ!

幸子!今、ちゃんと後ろ確認したの?
し ま し たっ!

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苦手だけで頑張る。右で心配している人を守るため。急ブレーキで前のめりになる後ろにいる二匹を守るため。そして自分の自由のため。

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