ヴァージニア日記

アメリカで過ごす中で、毎日感じたことを記します。

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カローラに乗って。

赤ちゃんが「オギャー」と生まれ一番最初に持つ感情は、「オギャー」と泣いているのだから「嬉」である訳は無い。私の好きなマッキーが『生まれたときあんなに大きな声で泣いたのは このココロとカラダを全部使って 今度こそは誰かに何かいいことをできるチャンスをもらえたのが嬉しかったからなんです。』と歌っているからと言って、「嬉しかったのだ」とは思えない。あの「オギャー」は「ここさむい!」「くるしい!」「あかるい!」「何だか分からないことがおきている!」と言って大きな声で泣いているのだと思う。そしてその後、赤ちゃんは成長と共に、泣くことだけではなく笑うことも覚え、徐々に喜怒哀楽を持って行くのだろう。

喜怒哀楽は基本的な感情でその他にも人間にはいろいろな感情がある。その中に、物心ついた時にようやく持つ感情がある。「恥ずかしい」という感情だ。幼い子は「恥」も知らずに行動する。だが、一度この「恥ずかしい」という感情を持つと、それは、喜怒哀楽同様に、いやそれよりもむしろ強く人に影響する感情となる。

幼い時の出来事を思いだしてみよう。その中の半分とまでは行かないが、いくつかの思い出は「恥ずかしい」と感じた時のことだ。それは今思うと大したことでは無いのに、子供心ながらに「恥」を感じ、そしてその小さな「恥」をこんな大人になってまで引きずってしまうくらい、その「恥ずかしい」という感情は強烈なものなのだ。

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動物だって喜怒哀楽を持っていると思うが、おそらく「恥ずかしい」という感情は人間だけのものなのだろう。それは「自分」の姿を知り、中身だけでは無く「外見」からも自分を見、他の人と比較してしまうからなのかもしれない。もしハルが自分が小さな犬だと知ったら、あんなに偉そうに他の犬にワン!なんって言ったりしないのかもしれない。鏡の中の自分を見ても、あの小さな犬は自分だと思っていないのだろう。実際クルミに至っては鏡の前に立尽し、「どうしてあなたはそこから出てこないの?」というようは不思議な顔をしたりする。もし、私が自分の外見を一度も見たことは無く、背が高いのか低いのかも目線だけで判断し、どんな顔をして、どんな髪型で、皺があることもシミがあることも知らなかったら「恥ずかしい」という感情は持たないで済むのかもしれない。いいな。

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小さい時にはおばあちゃんが誉めてくれた目も口も、小学生になると男の子に「たれめ!」「おちょぼ口!」と茶化されてあっという間におばあちゃんにかけてもらっていた魔法は消えてしまった。顔の中で一番好きだと思っていた「えくぼ」ですら、「えくぼお化け」と言われてから違う目で見るようになってしまった。こうして目で自分を見ることと同様に「耳で人の言葉を聞くこと」も恥ずかしいという気持ちに加担する。茶化されても、「自分は自分」とその言葉に耳を傾けず自信を持って入れば格好良いのに、なかなかそういう態度が出来ない。出来ないどころかむしろ自ら「私はたれ目だし」「団子っ鼻だし」と人の言葉を借りて欠点を暴露してしまったりするのだ。

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決まったことを日々行っているような我が家の生活に、ここ数週間、急に加わった活動がある。それは車のディーラーをめぐることだ。10年乗り込んだ愛車カローラがたが来て、修理してもまた次の修理とその修理代が割に合わなくなって来たのだ。カローラを買ったのは10年前。その時はまだ収入が無い時で、残っていた貯金で思い切って買ったのだ。テキサスの時には車さえも持てなかったこと、そしてこのカローラが私達が初めて自分達の選んだ新車だったからそれは嬉しく、愛くるしかった(←クリック)。

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ナンバープレイトはSACCHANとし、さっちゃん号。そしてハルが家族に加わってからはプレートを変えHARU号となった。何年も乗り込んで行くうちに、もちろん消耗品である車にはだんだん不具合が出て来る。それと共に私は自ら『ポンコツHARU号』と自分の愛する車を愛情を込め卑下するような呼び方を始めた。その後修理箇所が見つかった時、哲は「さちこがポンコツポンコツ言うから本当にポンコツになったんだよ!」と少し怒って言っていたっけ。あんな風に哲が言うのは珍しかったから覚えている。そんな風に哲に言われても、ブログと言う公の場で「ポンコツHARU号」と一度呼び始めてしまった私は、その後も引き続き「ポンコツHARU号」と呼び続けなくてはならないような気持になり、でも呼ぶ度に「ごめんね」と心の中で言っていた。

10年経った今、哲はカローラを卒業しようと決めたらしい。そしていくつか回ったディーラーで乗った車は「私達がこんな車に乗れるようになったの?」と思うような車で、もちろんディーラー側はいろいろと質問をしてくる。毎回必ず聞かれるのは「今、何乗ってる車は何ですか?」

とあるディーラーに行った時、例外なくこの質問を投げかけられた。そして、「カローラです」と言うと、良かれと思って言ったのだろうが
「HA!それは今度は自分にご褒美だね。もう僕はこれに乗る価値がある!っていうご褒美だね。」
と結果的にカローラを少し馬鹿にしたような言い回しになったのだ。私はその言葉を耳で聞いてそのまま真に受け、その言葉と口調を「心」に伝えてしまった。

カローラを持っているのは恥ずかしいことなんだ。

それからというもの、私は他のディーラに行って同じ質問をされると、普通にただ「カローラです」と言えなくなり、「あははぁ、、カローラなんですよ、、」と答えるようになった。そんな様子を見て「カローラの何が悪いんだい?」と逆にフォローしてくれるディーラーがいたくらいに、きっと私がカローラを持っていることを「恥」と思っているように見えたのだろう。

恥ずかしいという気持ちはとても嫌な気持ちだ。なぜならそれは自分に対して失礼だからだ。人の言うことを耳で聞き真に受け、自分を失う。
あ!だから「恥」という漢字は「耳」と「心」で出来ているんだ!耳が心とくっついてしまった時に、恥ずかしいという気持ちが生じるんだ!
なんて勝手に納得していたら、どうやら「恥」という漢字は、恥ずかしい気持ちを持つと耳が心臓のように赤くなるからと説明されていた。
でも、私の中では、耳から「恥」は来ると思う。私のモットーの一つに自分の目を信じる。自分の体験を信じるというものがある。だから人の言う噂話などには耳を傾けずそれに左右されないようにしているのだが、それが自分に関わることとなるとそれが出来ないものなのだ。

また明後日ディーラーに行く。愛車カローラに乗って。ブレーキをかけ止まる度にどこかで変な音がするカローラに乗って。そして今度は胸を張って、、、とまでは行かないが、「カローラに乗っています」と恥ずかしがらずに言おう。恥ずかしいと思う気持ちは自分が勝手に作った感情。

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ポンコツHARU号、いざ!


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COMMENT

●NO TITLE

こんにちは。車買い替えされるんですね!!!
カローラってアメリカでは結構高いし、驚いたのが中古も値が落ちませんよね。
幸子さんが持たれた感情はないと私は思いました。
しかも頑張って10年も動いてくれて、さすがトヨタだと思うし、アメ車の同様車種ならもうとっくにダメになっていたかもしれませんよね。
幸ちゃん号からハルちゃん号になり思い出を刻んできた車、なんとも手放すのもなんか寂しい気がします。
私のトヨタ4Runnnerも新車購入から8年目を迎えますがまだまだローマイレージだし、亡き父が買ってくれたのもあり、また色々な思い出があるので手放せません、ポンコツになるまで乗るつもりです。

 カローラは10年という幸子さんファミリーの歴史を一緒に刻み、役目を終え、次の新しい車にバトンタッチできることもまた嬉しいことでもありますね。
次は何の車でしょう!!そしてプレートはどうなるのか楽しみにしてます。

題名の”カローラに乗って”
この昔カローラのCMの歌がありましたね。

カローラってトヨタの名車です!

●mackmayさんへ。

mackmayさん、

こんにちは。
こちらのブログも読んでくださってありがとうございます~。

そうなんです、そろそろかなぁ、、と話してはいたのですが、急に盛り上がって来ました。
カローラに良い印象を持って頂いてありがとうございます。
私もカローラは大好きで、しかも今の車はとても思い入れがあるのです。
この愛着ポンコツHARU号は、私が本免許を取ったら運転する予定です♪
楽しみなんですよぉ~。

10年と言うのは車の寿命なんですね。
私達はもっと長く乗れるものかと思っていたので、TOYOTAなのに、、と思っていたのです。

mackmayさんのあの車はお父様が買ってくださったものなんですね。
それは本当に愛着が湧きますね。
とってもmackmayさんに似合っていました!あ、今の車もとても似合っています♪

今度のプレートは何にしましょう。主人と相談です♪

そうです、私は小沢健二の「カローラに乗って」を思いだして題名を付けました♪

最後のmackmayさんのお言葉、
「カローラってトヨタの名車です!」がとっても嬉しいです!
ありがとうございました!!


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