ヴァージニア日記

アメリカで過ごす中で、毎日感じたことを記します。

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金メダル。

体操で金メダルを取った内村選手の奥さんが、こうちゃんはオリンピックに行く時もいつもと同じように「いってきまーす!」と普通に出て行ったんですよ、と取材で述べていた。そんな大事な日、私だったらどのように見送るのだろう。

あ!!そうだ!!明日はあのポロシャツを着て哲を見送ろう!

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あのポロシャツとは震災の時にラルフローレンが寄付のために作った日の丸のワッペンが胸に付いているポロシャツだ。
そうだよ、哲はアメリカで頑張る日本代表だもの。
我ながら良いことを思いついたと1人盛り上がり、ポロシャツをクローゼットの奥から引っ張り出して準備していた私だったが、ふと、、
あ、もしかして、私の気合が哲に伝わって、プレッシャーになったら良くないかな、、
と考えに考えて踏みとどまった。そんな自分に心の中で「よく踏みとどまった!グッドジョブ!」と言った。そう、普通に、普通に、普通に見送らなくちゃ。

哲がテレビに出ることになったのは数日前に分かっていた。その時は意外と普通に受け止め、気軽に行こうよという気分で私も構えていた。だが、いざその日を明日に控えるとやはり興奮してきてしまった。そんな私に明日はお弁当を作って欲しいと哲が言った。
うわぁ、こんな時に限って、なんにも冷蔵庫にないし、、、
でも、何とかお弁当らしきものを用意した。

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入試などと違って昼休み中に食べ、その後も試験があるのなら入れるものを入念に考え、お腹に優しい物を作るよう気をつかうのだが、今回は放映が終わった後だ。その分、気は楽だ。でもだからこそ、何か豪華なものを入れてあげたかった。

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お弁当を手渡す時に内村選手の奥さんを見習い普通に「行ってらしゃい!」と言い、でも「頑張ってね。大丈夫だよ。」と付け足した。力の入った笑顔は、いつもより長く振り返ってこちらを見ている哲の背中を叩く気持ちだった。

それは前の晩のこと。
哲、明日の放映、ライブで観なくても良い?怖いから。
いいよ。
そんな会話をやりとりした昨日だったが、哲の一世一代の舞台を生で観なくて妻として良いのか、、と思い直し、朝、
哲、やっぱり生で観るから。
うん、そうだね。
だから、テレビの付け方教えてくれる?すぐに見れるようにセッティングしておいてくれる?
分かった。

普段テレビを観ないから、4つもあるリモコンのどのボタンのPOWERの文字がテレビにつながっているのかも分からない。
これを押して、これを押して、これ。
これ押して、これ押して、これね。うん、分かった。

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9時45分。哲からメッセージが入った。
緊張するねー。
大丈夫だよ。いつも患者さんと話していると自己暗示して。
大きな声で話した方が緊張しないよ。
幸子の背中にしていると思って。昨日の夜と同じだよ。

そして哲からは親指を出す絵文字マークが送られて来た。

そんなやり取りをした後、10時になる前にテレビをつけようと思ったらつかない!
慌てて出演間近の哲に「哲!!テレビがつかない!」と駄目妻はメッセージを送った。もちろんもう哲はメッセージを見ているような状態ではないのだろう。返事は無かった。
いろいろなボタンを押し、押し、押し、、、
ついた!!
あぁ、、良かった~。

そして、ソファに座り、哲の出演を待った。

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哲が出て来た。テレビの画面に哲を見、そして会話を振られて話している哲の姿を見た時、
なんて立派になったんだろう、、、
とテキサス時代の哲を思い出し、涙が出て来た。

赤いリュックを背負って自転車に乗って学校に通っていた哲。
節約のためにみんなが美味しそうなサンドウィッチやハンバーガーを買っていても3年間ほぼ一度も買ったことはなく、毎日お弁当を持って行ってもらっていた。小さな小さなお弁当箱で、今はおにぎりお弁当にする時に使っているものだった。
哲が国家試験を受ける日、あの日もお弁当を作った。お腹を壊してはいけないと、きっと気を使ったものを詰めたのだと思う。(←クリック
あの時の哲が今は白衣を着てテレビに出ている。同じようにお弁当を持って行って。


そして5~6分のコーナーは無事に終わった。哲は落ち着いていた。「お疲れ様!とっても良かった!!!」とすぐにメッセージを送った。
疲れたことだろう。哲を知らない人にとってはテレビの単なる1コーナーに出ている人として流して観るのかもしれないが、私にとってはそれは光り輝く人、光り輝く1コーナーだった。日本人としてアメリカで頑張って来た哲のご褒美のように感じた。しばらく私は放心状態だった。

その30分後、お弁当を手に持った哲が帰ってきた。どうやら食べる場所が無く家で食べることにしたらしい。
蓋で潰れてしまったお弁当を嬉しそうに見、そして嬉しそうに美味しそうに食べている哲を目の前に、

あのね、本当は日本の国旗の付いているあのポロシャツで見送ろうと思ったの。でも気合入れ過ぎかな、、と思ってやめたんだよ。
あはは。

哲がオリンピックの選手では無くて良かった。私の器量ではとても無理だ。でも哲には金メダルをあげよう。「元気が無くなったらこのビデオを見れば良い。これで長生きできるよ。ありがとう!」とお母さんに言わせた哲に金メダル。

哲、お疲れ様でした。
今、人生で一番嬉しかった時は?と聞かれたら(←クリック)、この日をあげるのかもしれない。


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