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ヴァージニア日記

アメリカで過ごす中で、毎日感じたことを記します。

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怖い。

犬好きには「嫌な人」はいない。

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(写真はお借りしています)

あぁ、なんでこんな人が存在するんだろう。格好良いし、いつでもトップで活躍しているし、、、。
そうだよ、おまけに子供も可愛いんだよ。
そりゃ、そうでしょう~。だって、奥さんはモデルさんでしょ!
でもね、神様は人間を平等に作っているはずだから、きっとこんな人も周囲の人には見えない何かに悩んでいるに違いない。ものすごーーく不幸を感じる何かがあるのかもよぉ~。


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(写真はお借りしています)
現実の世界では、人の好き嫌いが無い方だ。でも芸能界など非現実的な世界に住む人を見る目は厳しく、聞こえないと思って時には辛辣な言葉をあててしまったりする。

格好良いのは分かっているし、すごいことも分かっているけど、どうも好きになれないのよねぇ。すかしているし。

そう思い続けておそらく10年は経っているのだろう。その間彼は、私のその言葉をものともせずに活躍し続け、そして今も目の前のテレビの画面の中で、「あぁ、格好良い」とため息をつかせてくれるほどのマスクで、ロングパスを決めた。

トムブレイディ。アメリカンフットボール、ニューイングランド州のペイトリオットというチームのクォーターバックだ。

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(写真はお借りしています)
哲のお蔭で私はアメリカンフットボールの基本的なルール、そして有名な選手、チームくらいは分かる。ブレイディのことももちろん知っている。とにかく「強くて格好良人」「いつも注目を浴びている人」。それ以上の深い部分は知ろうとせず、その「格好良すぎる」見かけだけで「嫌な人」に違いないと判断する。人を知りもしないで判断するなんて、一番しては行けないことだし、それ以前に「人間を判断する」権利なんて私には無いと言うのに、どうしても「嫌な人に違いない」と思ってしまうのだ。異性とは言え、ひがみなのだろう。

日曜日の午後、忙しく家事をこなした後に「あぁ、疲れた~」と言いながら絨毯に寝転ぶ私は、ソファに座っている哲が前のめりになって観ているテレビの画面を横目に見る。久しぶりに見たけれど、やっぱり格好良い。

そんな午後を過ごした日曜日の夕食時、その格好良さに悔しくもしびれ、まだそのしびれを引きずり、また彼を話題に出した。

ねぇ、ブレイディって最初からあんなに強かったの?
違うよ、ドラフトでは6巡目だったんだよ。ペイトリオットに入った時も最初は2番手で一番手のクォーターバックが怪我をして、その代りに出て、監督が気に入ったからそのままプレイすることになったんだよ。
へぇ~、そうなの~~!それは決断した監督もすごいね!

意外だった。彼は最初からトップでリーグに入って来たのだと思っていた。今や、誰もがトップのアメリカンフットボール選手と認めるブレイディはドラフトでは199位で使命を受けたようだ。

あのね、ブレイディはいつも「怖い」んだって。
え?何が?
さちこみたいに完璧主義で、全て予習し念入りに計画しないと怖いんだって。努力家なんだよ。
え~!そうなの~!努力で強くなったんだぁ。

もちろんどんなスポーツ選手も計り知れない努力をして、華やかな舞台に立つことが出来ているのだとは分かっているけれど、彼はもともと持って生まれた才能と性格で、努力少なくしても成功しているタイプだと思っていたのだ。

そっかぁ、さちこみたいなんだね。あ、なんだか急に親近感湧いて来た~!さちこと一緒!
でも、違いはすごい人とすごく無い人だねぇ、、、。


私が10年前に勉強をやめたのは完璧主義だからだったからだ。もう勉強をしなくても充分と分かっていても、常に「怖く」、完璧を目指し、テストではいつも一番、どのクラスでもそうだった。一番になる以上は何も無いのに、誰と戦っている訳でもないのに、自分との戦いが終わらず、永遠に勉強し続けるのだった。

勉強をやめた今でもそうだ。専業主婦とブレイディとを比較するのは甚だおこがましい話だが、予期せぬことが起きないように、いろいろな場面を想定し、準備をしてしまうのだ。私の舞台はヴァージニアのこの小さな家、小さなエリアで繰り広げられていて、ブレイディがアメリカ中が見守るゲームの戦略を練っているのとは舞台の大きさが違い過ぎるが、それでもその「生活の舞台」で私はいつも戦略を練っているのだ。

明日の朝食、哲に何を作ってあげるか、お弁当は何にするか、どんな手順で作るか、お散歩の時間、エクストラの時間で何が出来るか、お夕食のこと、、、頭の中にはいつでも箇条書きがあり、ついつい箇条書きを飛ばしてしまうと「あ、そうだった!」とか「あ!しまった!」と口にし、哲を驚かせる。我ながら、良くもこんなに常に頭が働くものだと感心するほど、いつでも頭はスイッチON。スイッチが切れることは無い。

こんな小さな舞台で生活している私でも、この完璧主義から来る「怖い」気持を制するのに大変でいつも疲れてしまうのに、あんな大きな舞台で一番になるために「完璧」にならんとしている彼の心はどんなに疲れていることだろう。どんな恐怖なんだろう。考えただけで潰されてしまいそうな気持になる。絨毯に寝転がってアメリカンフットボールを横目に見ていた私は、10年間、誤解していて悪かったな、、と急に彼が可哀想になった。

今まで「あの人嫌い!」と言っていたのに、ほんの数分の会話で急に彼に親近感を感じ、そして一般的にでは無く、「私的」にも格好良いと思えるようにまでなってしまうなんて、人間はなんて単純なのだろう。

アメリカという大きな国で小さな日本人女性がたった1人、自分を好き、嫌い、、と思おうがどうしようが、彼には何の影響力もないとは思う。でも今日から私は彼の味方なろう。
4回のスーパーボウル制覇、そして3回スーパーボウルでMVPを獲得しているブレイディ。これからさらに気になる存在だ。

それじゃぁ彼にはスーパーボウルを目指してもらい、さて、私は小さなこの舞台で、今日も「完璧」にしなくても良いのに完璧を目指し、計画を練ることにしよう。

6時になったらお味噌汁を作り始めて、6時15分にカボチャとベーコン、卵を和えて、煮付けて置いた里芋を盛り付け、にんじんの葉の炒め物を作って、テーブルをセッティングし、6時半になったらお茶を入れ、哲の電話を待つ。電話がかかってきたらフライパンの火をつけメインディッシュを作り始め、御味噌汁を弱火で温めておく。お皿は何を使おう。あれと、あれと、、これにしよう。
お豆腐には梅干を乗せよう。
今日のデザートはロールケーキ。お皿とフォークを用意して置き、お茶は、、、あれにしよう。全て準備OK!

ただいま~!
お帰りなさい!ちょっとBEHINDなの(遅れを取ってる)!!
残り2分!試合も大詰めだ。

何とか間にあい、そして美味しかった~!の言葉を聞き、やっとタッチダウン!
あぁ、これでファーストハーフが終了。
セカンドハーフで食器を片付け、哲がお散歩に行っている間に、軽く掃除機をかけて、食洗器を回し、その間に木のまな板にクリームを塗る。食洗器が終わり、食器を片づけ、キッチンを掃除して、あぁ、、試合終了~。
後は一日の一番の楽しみタイム。キッチンでアイスクリームを食べてゆっくりするだけ。
そしてまた明日の朝5時前から私の完璧を目指すべく一日は始まるのだった。

やっぱりね。
やっぱりそうなんだよね。


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(写真はお借りしています)

犬好きには嫌は人はいないんだよね。

☆冒頭の写真はトムブレイディの愛犬スクービー。

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