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ヴァージニア日記

アメリカで過ごす中で、毎日感じたことを記します。

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ピンクの自転車。

ひ弱だった10年前、その時持っていたはずのエネルギーを温存していたからなのだろうか。今、毎日「疲れた疲れた」と口癖のように言っているものの、年齢による衰えと反比例し、身体が丈夫になっていっているような気がする。自分のことで精一杯だった時代から、哲とハルの世話を一生懸命する日々が過ぎ、そしてクルミが加わり、自分には今、まだ何かを余分なことをする力が残っていると思った。もう40過ぎているんだから無理はしないように、、、と言われることもあるが、例えば65まで体に不自由なく生活できると仮定するとまだその年に達するまでに20年も残っている。その20年をどのように過ごすか、、、ここ数か月それをずっとずっと真剣に考えている。

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「宇宙飛行士になりたい」「野球選手になりたい」「お医者さんになりたい」「先生になりたい」

小さな時の夢を頑なに持ち続け、それを若くして成し遂げた人が羨ましい。どんな子供も「夢」を持っているように、小さな私にももちろん夢はあった。誰かに「さっちゃんの夢は何?」と聞かれると「歌手になりたい」「アイスクリーム屋さんになりたい」「先生になりたい」などと答えていたが、そこには強い意志はなく、ちょっとやってみたい、、、程度の夢だった。今は「キッザニア」という子供向け職業体験施設があるようだが、「今」子供ではない私はキッザニアで体験することは出来ず、その「そのちょっとやってみたい」という「夢」は大学時代にアルバイトをすることで満たすことになった。歌手にはなれなかったもののカラオケでマイクを握り踊ってみたり、アイスクリーム屋さんにはなれなかったもののサーティーワンでアルバイトしてみたり、先生にはなれなかったものの家庭教師をしてみたり。今、アイスクリームを毎日食べてはいても、作っていないのは、アルバイト程度のことで満足できる「したいこと」だったからなのだろう。

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そして就職。
アルバイトとはもちろん違う。私の時代は「就職」=「永久就職」で、入社する時点では一度入社した会社を辞めるなんてことは全く考えないものだった。だからこと入念に考え慎重に選ぶのだが、私は恵まれていたのだろう。実家でお世話になりながら仕事をしていたため、本当の「自立」をする必要はなく、ただ「してみたい」ことを考えて会社を選べばよかった。
「銀座の象徴となっているあのお店で、笑顔の接客をしたい!」という夢を、私は叶えたのだ。

20代の私が純粋に「したい!」と思って選んだ仕事は天職だった。でも、数年後、哲に付いてアメリカに渡ることになり、残念ではあったがあっさりと辞め、そしてそそくさとアメリカに移り住んだ。

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無職生活は長かった。「天職」の後、数々のヴォランティアはしたものの、初めてアメリカでお金をもらって働いたのはつい4年前のことだった。「あのベイカリーで働きたい!」と求人広告も無いのにベイカリーのマネージャーに直訴した。実家にお世話になりながら就職した時のように、幸い私は「稼ぎ頭」にならないで済んだから、純粋に「ただしたいこと」を選べば良かった。なんて恵まれているのだろう。

「渡米しなくてはならないので退社します」と上司に告げそして実際に辞めるのには、今考えるとそれほどエネルギーはいらなかった。それは自分が決めた決断では無かったからだ。でも、「自分」が理由で辞める時は、何かを始める時よりも大きなエネルギーが必要で、ボスに告げることがとても辛い出来事だった。(←クリック

もう二度と何かを辞めたくないからと、何かを始めることも怖くなり、そしてあれからまた数年が経ってしまった。もう働くことは無いだろうとずっと思っていた。でも、人は忘却の生き物で、4年も経つと辞めるエネルギーがどんなに大変だったのかも忘れ、辛さのトラウマも取れ、いやむしろ少しくらい大変な目に会いたいとまで思えるような精神状態になっていた。
そんな中で今後の20年を見据え、次なる「仕事」を考えていた数か月だったのだ。

したいこと したいこと したいこと

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毎週水曜日、私はアニマルシェルターのボランティアに行っている。辛いこともあり体も心も悩んだ時期があったが(←クリック)、元気に続け気付けばもう5年経っていた。お金をもらっている訳ではないのに、雨の日も、雪の日も、寒い日も疲れている日もせっせと足を運び、誰に気付かれるでもなく仕事をしているのはその仕事が「好き」だからなのだろう。

したいこと したいこと したいこと

あ、そうだ!そうじゃない!

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動物の世話がしたい!
掃除がしたい!
もくもくと汗をかいて働きたい!
ボランティアでしている仕事の枠を広げて、それを仕事にしたい!
自分のためでは無くて、誰かの幸せのために働きたい!

お金をもらっていなくてもしたいことだから、きっと続けることが出来る!

哲、私、アニマルケアテクニシャンに応募しようと思う!

哲に告げたのは、辛いこともあり(←クリック)悩んだ後にブランチをしている時だった。

最後まで聞いてから意見を言ってね、、と言って、自分の気持とそう思うまでに至った過程を説明した私に、哲は頷いてくれた。
でも、一つだけ、幸子の能力がもったいないと思う。
もったいない?

私が申込みしたいと思ったポジションは、高校卒業が条件だった。
この世界に存在するあらゆる「仕事」は、どんな仕事も大切で、それぞれの人が一生懸命誇りを持ってしている限り、立派な仕事だと思っている。でも、残念ながらこの世の中は、大学に入るのに条件があるように、仕事を取るにも条件がある。高校卒業では条件を満たしていない仕事もある。この世の中は背伸びをして仕事を獲得することはあっても、自分の「レベル」を落として仕事を獲得することが少ない社会なのかもしれない。ベイカリーの仕事の面接の時にもカルロスに、「どうして大学を出ているのにこの仕事がしたいんですか?」と言われた。だってしたいからしたいんです!

哲が気になっていると言うのを聞いて、少し落ち込んでしまった私だったがとにかく「したいこと」をしようと思った。
そして「したいこと」をすることが出来る恵まれている私は、次なる仕事を獲得する前に、何が大事かを考えた。仕事を探す上でまず第一に考えたいのは家族だった。

哲に迷惑をかけないように、今の哲の仕事を邪魔しないように、引き続きサポート出来るように、そしてハルとクルミの面倒をきちんと見れるように。散歩も欠かさず、2人が可哀想な思いをしないように。

そう思う私にとってシェルターでのアニマルケアテクニシャンの仕事はパーフェクトだった。
シフトは朝と夜のシフトがあり、もし朝のシフトだけで良いのであれば、朝7時から昼3時半まで働くことになる。途中の休憩時間にハルとクルミの散歩をしにシェルターを抜け出し、そして自分も家でササッと何かを食べれば良い。家に帰って来るのは4時過ぎ、十分夕食も作ることが出来る

パーフェクト!!

お昼休み慌てて帰って来なくちゃならないね。
まだ申し込んでもいないのにそう言う私に哲は「自転車を買えばいい」と提案してくれた。
そうだ、自転車を買おう!

そして私は自転車に颯爽とまたがり、ハルをクルミを思って汗をかき、ペダルを漕いでいる自分を想像してはワクワクワクワクしていたのだった。自転車を駐輪する場所までチェックしたり、私の妄想は果てしなく広がって行った。

そしてレジメを送り、面接の日が決まった。担当の人と話、そしてディレクターに通された。
私の情熱はもちろん伝わり、シフトの話になった時だった。

残念ながらシフトは朝、夜、選べないんですよ。日によって変わります。

数年前の私だったら、そう言われても「したい」という気持ち勢い「はい!それでもしたいです!やらせてください!」と言っていたのかもしれない。でも私は大人になった。何が大事かを考え、すぐに、
「それならこの仕事は私向きではありません。」
夜10時半まで働くことは今のライフスタイルを乱す。だからそれはいくら「したいこと」であっても選択肢では無い。

面接を終え、ただいま~と家に帰ったら仕事に行く前の哲が出迎えてくれた。
駄目だったよ。やっぱり夜も働かなくてはならないと言うから諦めた。したいんだけど、しょうがないね。
哲は無口になり、私よりも落ち込んだように見えた。
だって幸子が張り切っていたから。

振り出しに戻った。また「何をしたいのか」を考える。私は止まらない。日常の生活の中でも流されず、「夢」が叶うのがいくつになるのかは分からないが、常に「夢」を「考え」て生きて行こう。

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「40代の私たち、今、何をやっていこうと悩みはいっぱいあるんだと思う。だけど、人生はまだ半分も残っているし、今までの40年よりも知恵も経験もあるから きっといい答えが出せるような気がする。」

そう、本当にそうだ。人生の経験も積み昔よりも少し賢くなっている私には、きっと良い答えを見つけることが出来ると思う。

そんなことがあった週、散歩途中にふと可愛い自転車を見た。
あ、あんなピンクの自転車可愛いなぁ。
それ、幸子の誕生日プレゼントにしようと思っていたんだよ。仕事が決まったら買ってあげようと思っていたんだよ。

あぁ、だからあの日、「駄目だった」と帰って来た私の言葉にがっかりしたんだぁ。

高校時代から「あだは張り切っている」と思われていた私が、変わらず張り切り「ピンクの自転車」にまたがる日がいつか来るかもしれない。

あぁ、また夢が一つ増えた。
ピンクの自転車に乗りたいな。

ピンクの自転車は私をどこへ連れて行ってくれるのだろう。

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