FC2ブログ

ヴァージニア日記

アメリカで過ごす中で、毎日感じたことを記します。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

いざとなったら。


ねぇ、次の原稿の締め切り、大丈夫?いつ?
明後日。
!!!!!!!!

私には理解できない事態。

夏休みの宿題はぎりぎりまでせず、「いかに黒くなってみんなを驚かせるか」が自分に課した宿題だと、必死にその宿題を頑張ることで忙しい夏休みを過ごしていた。その宿題で評価されるのであれば私は優秀な子供だったのだろう。考えてみると現代の小学生とは異なり大した宿題は出ていなかったのだろうが、たらたらしている私を温かく見守っていてくれていた両親のお蔭で「早く宿題しなさい!」なんて突かれることなく8月末を迎えるのが常だった。そして日焼けした顔で「どうしよう。。」と私は呟いて、自由工作や自由研究を何度パパに頼ったことか。そう、いざとなったらパパが助けてくれる!

o0400029912214260535 (400x299)

今でも覚えている夏休みのパパによる工作は、花王の赤い石鹸箱の上部に穴をあけ、厚紙で作ったタイヤを設置。中にどういう仕掛けがあったのか作っていないから分からないが、輪ゴムでタイヤが回るような仕掛けになっている。石鹸箱には割り箸の柱が付いていて、そこには旗が掲げられていた。そして、くりぬいた中には、たまたま家にあったタオル地の小さなうさぎの人形が入れられる。自分で作ってもいないのに、「これでいいのかな」なんて恥ずかしそうに壊れないようにと入れて来た紙袋から取り出し、工作を紹介する大きなテーブルの上に「あだちさちこ」の名前を添えてそっと置いたのを覚えている。

自由研究ももちろん切羽詰るまで手に付けない。パパの提案をすんなりと受け入れて取り掛かった宿題は、模造紙に家の近辺の地図を書き、そして近所で咲いているを記していくと言うものことだった。方向音痴で地図を見るのはもちろん描くのも苦手だったと私が、上手に仕上げることが出来る訳もなく、しかも慌てて作ったものだから、その地図に書き記した花の種類の乏しさと言ったら。毎日散歩しながら花を見るのが好きな今の自分だったら楽しんで行いそうな宿題だが、年齢が一桁だった私は「花は花」でしかなく、自分で見つけて描いた唯一の花(木)は氷川神社へ続く道にある、煙草屋さんの前のサルスベリだった。パパから「猿が滑るからさるすべり」と教えてもらった時から、その木を見る度に猿が滑り落ちている様子を想像し、とりたて好きな花では無いにしても「面白い」花という評価を付けたのだ。白いつるっとした幹にピンクの花を咲かせていたあのサルスベリは今でも鮮明に覚えている。

こんな様子の小学生時代だったが、どこでどう変わったのか、今の私は宿題はとにかくすぐに終わらせる人に成長した。いや、これを成長と呼べるのかどうかは分からない。昨年、書く仕事を少ししていた私は、原稿依頼が来ると期限まで例え数週間あろうが、居ても立ってもいられらなくなり、とにかくすぐに取り掛からないと気が済まない。そして依頼があって数日後には原稿を提出し、残りの期間を「あぁ、終わった~。」と解放感に浸りながら過ごす、、、、、べきなのだが、そうなると次なる依頼がまた来て、数か月先の提出であってもまたすぐに取り掛かるという繰り返しだった。いざとなってもパパはいないし不安だから。

DSC02618 (500x375)

ハルとクルミとの散歩を楽しんでいた日曜日のことだった。今まで行ったことのない道を歩こうと、オールドタウンと呼ばれるアレキサンドリアの川沿いを歩くことにした。歩いたことのない道を、やっと咲き始めた春の草花を楽しみながら歩く。小さな野の花も見逃したくなく、ゆっくりと歩き、立ち止まってはじっと眺める。今、模造紙があったなら、サルスベリだけではなく、たくさんの花を友達にに紹介出来るだろう。名前の起源や種や実のなり方まで記すだろう。そんなことを考えながら、まだ朝も早く肌寒さは残る空気の中、リーシュを握り歩いていた。

すると、ある芝生のエリアにリーシュにつながれていない犬たちが遊んでいる。そして飼い主は腕組をしてその犬達を眺めている。この光景は、どこかで見覚えが、、、

そうだ、ドッグパークだ!

組んだ腕にリーシュを握り、自分の犬を眺めている女性に、おはようございます!すみません、ここはドッグパークなんですか?と尋ねた。
そうよ!

哲と私は顔を見合わせびっくりした。犬が遊べる場所はいろいろ知り作りしているはずなのに、こんな場所があったなんて!そしてすぐにハルのリーシュを外す。クルミ、、、、
そう、クルミは自由奔放、そして怖い物知らずの子だから、柵の無いエリアでのリーシュオフは相当危険なのだ。でもこんな公園を見つけた嬉しさから、理性よりも感情が走りクルミのリーシュも外してしまった。

DSC02634 (500x375)

ハルはすぐに駆けて行き、そしてクルミはしばらくの間、居づらそうに立ちすくんでいた。元来シャイなクルミは他の犬がいると臆する傾向があるのだ。
そんなクルミのエンジンをかけてあげようと、私はクルミの方へ向かって捕まえるような素早い仕草をした、、、、、、

走ったー!

そして、芝生の方へ走って行ったかと思ったら、Uターンし、川へ!
道路の方へ行かないようにとばかり心配していた私だが、まさか川へ行くなんて!いくら呼んでも戻って来ず、調子に乗ってクルミは川べりから少しずつ離れて行く。

DSC02647 (500x374)

「くるみー くるみー」と叫びながら、この時点で私の心の中にはクルミを助けるために冷たい水に飛び込む哲を想像し、そして2人を心配しながらただただ見守っている自分を想像していた。
結局無事にクルミは捕獲出来たが、その出来事が終わっても私の胸は痛いほどにドキドキし、そして叫び続けていたために、喉も痛くなっていた。

ほっと一息つき、助手席に腰掛けた私は哲に尋ねた。
ところで、私が叫んでいる間、ハルはどうしてた?
退屈そうに砂舐めてた。
哲は良くハラハラしなかったね。心配していなかったの?全く叫んでいなかったよね。
うん、いざとなるまで待とうと思って。いざとなったら飛び込んで救えば大丈夫だと思ったから。

「いざ」という時は起きなかったのに、ただ純粋に楽しんでいただけのクルミのために、私はあんなにドキドキし、挙句の果てに喉の痛みまでもらってしまった。一方の哲は「いざ」が起きてから何か行動すればよいと、その光景を楽しんでいたと言える。なんて得な生き方なんだろう。

いざとなったら、、、、、

原稿提出に関しても、哲はその「いざ」を寸前でかわし、切羽詰まるという危機感をも持たず、結局ぎりぎりセーフで提出する。私に至っては哲の提出期限までも時々気にしながら、胸がドキドキしたりする。

今まで単なる「怠け者」(失礼します)だと思っていた哲の生き方は、賢い生き方なのかもしれない。それだけでは無い。結局自分を信じているから、最後にはきちんと提出出来ると自分を信じてあげているから、出来る行動なのかもしれない。

私は自分を信じてあげていないのだろうか。

哲の原稿は水曜日が提出らしい。月曜日の夜、iPadをいじっている哲に「ねぇ、原稿いつ書くの?」と私は聞く。
「幸子がコンピューター、使っていない時。」
「ちょっと原稿が先よ!私のコンピューターなんてどうでもいいんだから、今書いて!」
そしてのっそりとコンピューターの前に座る哲。
しばらくすると休憩とハルを眺めたり、クルミをさわりに行ったり。
「明日の午前、お買い物やめて原稿書いていて良いからね。」と、先にベッドに入った私は、リビングに向かって叫ぶ。
「大丈夫だよ、夜があるもん。」

そして火曜日の昼、哲を見送ってからこの文章を書いている私は、哲が今晩仕上げることが出来るのか、、とドキドキしているのだった。哲と同じように哲を信じてあげましょう。いざとなってもパパもいないし、哲しかいないからね。

クルミの水泳している様子、もう一つのブログは宜しかったら こちら から♪

ランキングに参加しています!
応援をどうぞよろしくお願い致します!
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

COMMENT

COMMENT FORM

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。