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ヴァージニア日記

アメリカで過ごす中で、毎日感じたことを記します。

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青い文字盤。


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何かを見て誰かを思い出すことがある。散歩途中で通るカフェを見れば、「あぁ、ここにあの人と来たなぁ、、」と思い出したり、スーパーでキャラメルを見ると「これ、ママが好きなのよね」と思い出したり、インターネット新聞で「サーキットレース」なんていう文字がたまたま目に入ってくると「あ、あの方のご主人が確か車のレースが好きだった」と思い出したり。
こうして物事から人を思い出すことはあるけれど、人から何かを思うこと、人を見て「この人と言えばあれ」と思うことはあるのだろうか。あるのかもしれない。

小さい頃いつも、「さち、重いよ。肩が凝るよ。」と言われながらも歩行者天国の商店街通りをパパの腕にぶら下がるようにして歩いていた。あの時パパの腕首には紺の文字盤の腕時計がくっついていた。穴がぼこぼこと空いている紺のその腕時計を「面白い時計」と思っていた。パパは気に入っていたのだろう。そう、パパと言えばあの腕時計。

2015年2月28日、パパは80を迎えた。客観的に「80」という年齢を考えれば立派な「おじいちゃん」だが、私にとってはパパはいつまでも「年齢のないパパ」なのだ。とは言っても、「パパは80、今年傘寿だ」と理解出来ているから、もちろん盛大にお祝いしたい。そんな気持ちで決めた今回の帰国だった。

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パパに何か記念になるものをプレゼントしよう、、と哲と一生懸命考えて、考えた末に提げ時計を送ることに決めた。大好きな会社で買うことに決め、そして商品を吟味する。男性が持てるような提げ時計はルーペ付きのものでシルバーの文字盤のものと紺の文字盤のもの、2種類があった。

あ、紺の文字盤。あの時計みたい。

哲は銀の文字盤が良いと言ったが、最後の最後に私は迷って紺の文字盤の提げ時計にしても良い?と哲に承諾を得、そしてそれを選んだ。子供の時ぶら下がっていた腕にいつもくっついていたあの紺の文字盤の腕時計を思い出させてくれたから。

さち、これね、前も上野くんにあげようと思ったんだけど、数十年前に買ったオメガの時計、分解掃除はして綺麗にしてあるんだけどね、バンドを取り換えたら上野くん、使えるんじゃないかな。

帰国した翌日、そう言ってパパが私に見せた腕時計はあの紺の文字盤の腕時計だった。

うわぁ、懐かしい~。

いくつかパパが持っている腕時計の中でも、パパと一番結びつくパパの分身のようなバンドがぼろぼろになっている腕時計を私は手に取り懐かしく見た。

ちょっとバンドが取り換えられるか聞いてきて、もし出来たらバンドを変えてきて。上野くんにあげるから。

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私はパパの提げ時計をお願いしていた愛する会社に足を運び、御包みが完了されているプレゼントを受取り、そして年季の入ったパパの腕時計を職人さんに見せるために時計修理コーナーへ行った。バンドの交換が可能かどうか尋ねると、どうやら出来るらしい。そしてその腕時計を置いて来た。

28日の朝になった。

キッチンで朝食の準備をしていた私は、パパに「おはよう」の挨拶代わりに「お誕生日おめでとう!」と言い、そして朝食後、すぐに渡せるようにと玄関に隠して置いた紙袋を「はい!」とパパに手渡した。

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躊躇しながらも嬉しそうにパパは受取り、そして箱を開ける。
「なんだ?」
中から出て来た提げ時計を手に取り、そして微笑み、「裏を見て!」という私の言葉に、裏の文字盤をじっくり見て「ありがとうね」と言った。しげしげと提げ時計を眺め、そしてその後、「これね、この房、汚れたらどうするかな。」

あの紺の腕時計のバンドのようにボロボロになってくれるまで使ってもらえたら嬉しいが、まだ使ってもいず、パパが手に持っている時計の房はまださらさらのぴかぴかだった。

数日後、私は愛する会社に再び足を運び、バンド交換の出来上がったあの腕時計を受取り、、そして房の汚れを心配するパパのために余分に違う色の房を買い求めた。

出来あがった腕時計をパパに渡すと、パパはそのまま私に「はい、これ上野君にあげて。」と手渡し、そして私はその代りに「はい、これ、汚れた時のためにもう1つの房。」と買って来た新しい房をパパに渡した。

こうして今、青い文字盤の提げ時計はパパの手元に、そして青い文字盤のあの懐かしい腕時計哲の手元にある。青い文字盤の時計を交換こ

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「そんな古い時計、哲宏さんするかしら?」とママは言っていたが、私はして欲しいから持って帰って来た。子供の時、ぶら下がっていたパパの腕にあったあの時計が、今は手をつなぐ哲の腕にある不思議さ。パパが大事に使っていた、私にとっても思い出いっぱいのあの時計がが哲に手首を飾ることが嬉しかった。

パパ、大事に使ってもらいますね。
さち、ぶら下がったら重たいよ。肩がこっちゃうよ。

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28日、パパの誕生日。あの頃から肩が凝るパパの肩をトントンとたたく姪の茉莉

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その後引き続き、1時間ほども揉んでいた姪の佳奈を見ながら、昔の自分を重ね、そして年をとったパパを思い、これからも元気でいてねと願った一日だった。

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青い文字盤の時計の房がぼろぼろになるまで使ってもらえますように。

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